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映画館に行って良かったぁぁぁぁ~映画版『宇宙兄弟』も観た!~ [■映画]

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小山宙哉さんの漫画『宇宙兄弟』が大好きです。
テンポ良い群像劇で、
登場人物全員が非常に丁寧に描かれているところに惹かれ、痺れております。
私は単行本で読んでおりますが、
現在17巻に至っても速度がいい感じに保たれ、
この先もずっと楽しみです。



既に始まっているアニメ版『宇宙兄弟』もお気に入りです。
アニメ版1回が原作の1~3話に相当するペース、
原作に忠実でありながら、
アニメとしての表現にも工夫がなされ、
原作同様じっくりと楽しめます。



さて、そんなところで満を持して登場!
映画版『宇宙兄弟』
キャスティングに希望を感じ、観に行ってまいりました!
現在も連載中の作品を2時間半程度にすること自体、無謀というもの。
別モノ!と割り切って楽しむつもりでおりました。




以下、とことんネタばれ。




申し上げるまでもなく、
原作を見ているか否かで見え方に差が出ます。

全体的にはテンポ重視、
映画という形式への再構築が成功している、
映像や音響の迫力を満喫できる作品でした。

NASAの打ち上げのシーン、発射の爆音と低音の振動と、
月面の闇と静寂は、
映画館で体験できて良かった!

原作を知っているからこそ
簡略化された個所に気付きながら、
巧妙に端折って作られているなと思いました。
原作にある印象的な心境やセリフが
異なる状況や場面、人物に当てはめられていますが、
それぞれ、絶妙に収まっていました。

映画の冒頭の宇宙開発の歴史のダイジェスト映像、
PVとして独立させてほしいくらいカッコいい!!
エンディングのColdplayのテーマソングとエンドロール、
とっても素敵でした!



そんなこんなで、面白かったです!




さて、まずは主人公”南波六太(ナンバムッタ)”
当初、どうなるのか心配だった
”ムッタ”役の小栗旬さん、とてもとても良かったです!

原作だと

  頭脳明晰で神経質、
  気持ちが動揺すると冷静さや集中力にムラが出てしまう。

  動揺の原因が自分自身からだけではなく、
  他者への心配や思いやりからくることがある。

  動揺を乗り越えた結果が非常に建設的で幸福なもの。

とても屈折しているものの、
深く魅力のある人物でありながら、
言動が上手い具合に煩わしく・・・絶妙なバランスとギャグ満載で描かれ、
物語が緩急付けやすい状態です。
主人公が突き放されている分、押しつけがましくないのです。

映画版だと、”ムッタ”に限らずどの人物も
性格や思いの深みを表わすエピソードや、
付いたり離れたり、でも一致していく、人間関係の変化など
ざっくり削られ、
感情的な場面が多く描かれてしまっています。
非常に薄くなってしまっていますが、
押しつけがましくないという点は共通しています。

ただ、先述のように原作を知っていると、
感情の根拠を無意識に補完できてしまいます。
映画版の尺の都合上、
なんかちょっと変な人、少なくとも宇宙飛行士になるには疑問が残りそうな、
単なるおっちょこちょいになりそうなところ、
ギリギリ持ちこたえ、
補完に耐えうるだけの器のでかい”ムッタ”を
小栗さんが丁寧に演じられました。

原作であれこれ思っては葛藤する場面が多いのですが、
悩んで焦っている雰囲気など
間や目線が彷徨う様子など、悉く良かったのです。

特に、

  ソファーでポップコーンをぶちまけ、
  うっかり”ヒビト”の遺書を読んでしまうところ

  閉鎖環境ボックスのグリーンカードにまつわるあれこれや、
  試験中に”ヒビト”の事故を知らされてから、
  終了間際の悪い空気を断ち切る言動(涙涙)

  最後の試験、JAXA職員の”星加””鶴見”との面接(涙涙)

などなど、
丁寧に重ね、話が進むにつれ
いかにも”ムッタ”だ!と共感していきました。

原作でも、
”ヒビト”と”ダミアン”は月面の谷に落ちます。
”ムッタ”は
兄弟だからこそ分かる”ヒビト”の性格と、
JAXA制作の月面地図を正しく読解、分析し、救出ポイントを提案します。
それは当初NASAに却下されながらも、
南波兄弟の絆を信じる人たちにより提案が活かされ、
”ヒビト”と”ダミアン”を寸でのところで助けます。
兄弟だからだけではなく、
宇宙飛行士になりたいという共通の夢が救う、
原作の丁寧な描写には泣ける上に痺れます。

一方、映画版では
試験終了直後、昼間の月を目にした途端、
試験中抑えていた”ヒビト”を心配する気持が爆発!
駈け出し、転び、無力さに苛まれ、
月の”ヒビト”に向かって「死ぬな!」と叫びます。
それが届いたかのように目を覚ます月の”ヒビト”。
いかにも映画的な場面、
原作のような機微や機転は無いものの、
兄弟ならではの強い力を感じて私は泣いてしまいました。
小栗さんが丁寧に積み上げて出来上がった”ムッタ”だからこそ、
感動したのだと思います。

小栗旬さんの”ムッタ”もっとじっくり見たかったなぁ。
これで終わってしまうのはあまりにも惜しいです。




続いて、弟”南波日々人(ナンバヒビト)”
個人的に声や口調が美しい、体がよく動く俳優さんが大好きです。
岡田将生さんも、まさしくそんな俳優さんで非常に期待しております。
最近、映画『悪人』、ドラマ『平清盛』『未来日記』など拝見するのですが、
見るたびに良くなっている感じです。

当初、小栗旬さんって”ヒビト”っぽいのに・・・と思い
(小栗さんご本人もそう思ったらしい)、
でも、”ヒビト”が岡田将生さんと知り、
岡田”ヒビト”なら、小栗”ムッタ”ありかも!と思えました。

そして、岡田将生さん演じる弟”ヒビト”、とても良かったです!
兄”ムッタ”に向けて声をかけるシーンが悉く響く!
なんだこのピュアな響き、スバラシイ!
冒頭の記者会見はもちろん、
”ムッタ”への電話やら、
月への出発直前「ムッちゃんは行かないの?」やら、
セリフの口調が一つ一つ効いて・・・
月面でクレーターに落ち、倒れたまま「ムッちゃん、ごめん。」
もう、涙止まりませんでしたよ・・・
思い出すだけで目が潤みます・・・
プログラムで、この場面の撮影自体過酷だったり、
画面には出ない演者に対する演出に工夫が施されていたことを知り、
更に納得しました。
泣ける、色々と泣ける~。

ムーンジャンプ、良かった!
漫画でも非常に印象的なシーンですが、
実写になると更に迫力が増し、無重力感は鳥肌モノでした。
撮影が大変だったそうで、お疲れ様でございました。

今回の”ヒビト”役で、
完全に岡田さんのファンになりました~今後も楽しみです!




南波兄弟に関しては、
冒頭から始終挟みこまれる
幼い”ムッタ”(中野澪さん)と”ヒビト”(中島凱斗さん)
兄弟までも良かった!
二人の表情や口調は原作のまま。
その上、成長後の小栗”ムッタ”と岡田”ヒビト”と相似し過ぎ。
他人なのに面影を感じさせる表情や口調の驚異的シンクロ率!
楽しかったです。




原作で、
”ムッタ”は、試験を通ったり、訓練を受けたりで
宇宙飛行士になるべく人物へと心身とも着実に成長し、
月へのミッションのバックアップクルーになり、
訓練が始まろうとしています。
”ヒビト”は、月面事故後のケアの不備で
宇宙服を着用するとPanicDisorder(パニック障害、PD)になります。
追いつきつつある”ムッタ”の力をも借りてPDを克服しようとするところが、
2012年5月現在の最新刊である17巻に収録されています。
二人揃って宇宙に行く頃には、
乗り越えた分だけ、痛快な表情が見られそうな気がします。

映画版は、
テーマが兄弟の絆と宇宙への夢と希望ということもあり、
最後に南波兄弟揃って月へのミッションに出ます。
正直、端折りすぎの戸惑いは否めませんが、
映画を見る時点で覚悟済み。
南波兄弟に経年変化が無いのを除いては、
二人で宇宙服を着て並び歩くところは楽しんで観られました。
こんな姿が見られて良かったなぁと。

それだけに残念、
ここで終わればよかったのになぁ。
その後なぁ・・・月に着いちゃうのは蛇足だと思いました。
安っぽすぎるわ、あのシーン。
月面に行かせたい気持ちは分かりますけど・・・違うと思いました。
100万歩譲って、
宇宙服で二人の顔が全く見えない状態で
飛び跳ねる二人だったり、
月面に並ぶ足跡が月の縁まで続いてる
写真や映像程度に抑えてほしかったです。




更に身も蓋もないことを申し上げますが、
やっぱり、尺が足りない、足りなさすぎる・・・

 井上芳雄さんの”真壁ケンジ”

 麻生久美子さんの”伊東せりか”

 濱田岳さんの”古谷やすし”

 塩見三省さんの”福田直人”

 新井浩文さんの”溝口大和”

 堤真一さんの”星加正”

見た目もさることながら、
全員実力が御有りの豪華な役者さん達です。
もったいない!もったいない!もったいない!

わがまま承知で申し上げると
もっと関係性を描いて欲しかった!
あんなことも、こんなシーンも、そんな場面も・・・
色々実写で見たい!
相性抜群の”ムッタ”と”ケンジ”が
図らずも競わなければならなくなる訓練風景、
見たかったなぁ・・・
ほんともう、もったいない!

益岡徹さんの”南波父”は、原作に近い見た目、
森下愛子さんの”南波母”は、原作より綺麗!
吹越満さんの”鶴見”は「ツルミー」じゃないけれど良かった!

想定外にBUZZ ALDRINがご本人役で登場!
うっわ、本物だ~
原作だと
引退直前の個性的な飛行訓練士”デニール・ヤング”が
務めた役割でした。

映画オリジナルキャラ堀内敬子さん演じる”権田原さん”、
美味しい役でした~
堀内さんが大好きなので、
嬉しかったです。

そして、これは本当に素晴らしかった!
”ヒビト”の愛犬”APO”がまさしく”APO”
これはもう、メロメロですよ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



宇宙開発の速度が落ちつつある昨今、
全体的にNASAやJAXAを含め、
宇宙開発推進用の
壮大なプロモーションにもなりそうなくらい
面白い映画でした。
多分、DVDなり、Bluerayなり購入すると思います。


原作はまだまだ続くようです。
アニメ版も続きます。
この先も楽しみにしていきます。


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原作から他形式への変換で生れる幸福な関係。~映画版『テルマエ・ロマエ』とドラマ版『ステップ・ファザー・ステップ』~ [■映画]


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3年ほど前、
職場の漫画好きとお薦め作品の貸し借りをしている時に出会った
ヤマザキマリさん作『テルマエ・ロマエ』
その衝撃は凄まじかった!
国内外問わず、シリアスでも、パロディでも
歴史ものは好きですが、
おぉぉぉこれは新ジャンルだっ!と思ったのでした。
これをきっかけに、
作者ヤマザキマリさんの作品の数々に触れ、
特にエッセイ漫画によって
世界が心地よく広がって行きました。



それ故に、
映画化決定の知らせで緊張しておりましたが・・・
主人公のローマ人 ”ルシウス”が阿部寛さん!
加えて、
”ハドリアヌス帝”を市村正親さん、
”アントニウス”を宍戸開さん、
”ケイオニウス”を北村一輝さんが演じるとのこと。
キャストを知って希望の光が見えた気がしました。

上戸彩さんがどう絡むのかが全く想像できませんでしたが、
なぜか、裏切られはしないだろうと確信してました。



そして、2012年ゴールデンウィーク折り返し、
大雨の中、都内の映画館に観に行ってまいりました!
以下ネタばれ注意でございます。



面白かった!


原作を大切にしながら、映画化されていて良かった~
前半は原作1巻を中心に丁寧に描かれ、徐々に加速して
後半、映画版オリジナル部分へと軽やかに展開していく!ので、
素直に楽しめました。
全体的のテンポが良かったのが大きいと思いました。


映画用の読み替えもいい感じでした。

テルマエ(風呂設計)技師に誇りを持ちながら、
こよなく日本人寄りのメンタリティを持っている
古代ローマ人”ルシウス”。
皇帝”ハドリアヌス”の命令やローマ人としての愛国心を動機に
”平たい顔族(日本人)”の風呂文化を拝借して
自分の設計として活用してしまうことに罪悪感を覚え、苛まれます。
映画では、葛藤が結末への大団円に繋がって行きます。
”平たい顔族(日本人)”の仕事っぷりを見ることで、
癒され、葛藤を超えるところなんか、見応えがありました。

原作だと、
”平たい顔族(日本人)”への敗北感・罪悪感もあるのですが、
その恩返しとばかりに
”ルシウス”が”平たい顔族(日本人)”を指導して
ローマ風呂を作る話があり、
いい感じに解消されているのです。



映画オリジナル部分、
現代日本人、上戸彩さん演じる”真実”や、
その父及び仲間たちが、
何故か古代ローマに行って湯治場を建設に加わるのも面白かった。



しかも、全編を通じて”真実”が非常にいい感じにエロいっす。
記号や演技じゃなく、
上戸彩さん自身に由来する色っぽさが上手く表れてて良かった!
女好きの”ケイオニウス”に連れ去られそうになるところも納得。
あれは、連れて行かれても不思議ではないね、うん。
しかも、生々しすぎないないのは
”ケイオニウス”が
直前でローマ女と戯れていたってのも大きいかもしれませんが、
演じていたのが北村一輝さんだからかと思われます。
拝見する度に「違う次元の人だ~」と思います。



しかも、そこで”アントニウス”が”真実”を助けることで
歴史が変わってしまいそうになる~のを阻止する
タイムスリップ話における王道展開も
上手く取り込まれ、効果的でした。


あと、各々、タイムスリップした後、本来あるべき時空に戻る
(現代日本から古代ローマに戻る、又はその逆)
きっかけの設定も良かったですね~
”ルシウス”の殺虫剤と、
”真実”の父とその仲間の「うわ、(焚火の)煙が!(涙)」は良かったなぁ。


コメディとはいえ、
「omnes viae Romam ducunt(全ての道はローマに通ず)」、
いやはや参りました。



エンドロールを見ながら、
あぁ、何かに似ている・・・と、ぼんやり考えたら、
そうだ、食の快感を網羅した
伊丹十三監督の『タンポポ』に似ているのでした。



入浴の醍醐味たっぷり、
うっとり入浴するシーン満載の『テルマエ・ロマエ』、
本当に面白かったです。
セットも凄く、視覚的に見ごたえがあるので
映画館で見て良かったと思いました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


いわゆる、原作モノと呼ばれる別形態版作品があるとき、
大抵、原作だけ、もしくは別形態版作品だけ、
片方にだけしか触れないことが多いです。
好きであるゆえに、全てに触れたいという気持ちと、
油断して触れたばっかりに”壊された・・・”と落胆を恐れる気持ち、
二つがせめぎ合うと、
後者が勝ってしまうのが普通になってきました。
様々な力のある制作関係者の思惑と、
凡人の私の視点が離れているのは当たり前、
社会人ともなれば時間が限られ、
わざわざ凹む余裕がないからかもしれません。



それでも、本当は前者でありたいのです。
なので、先述の『テルマエ・ロマエ』のキャスティングのように、
無意識に希望を見出だそうとしています。



原作から別形態版の流れが

 小説→漫画→(アニメ→)ドラマ・映画

斯様に作品の形態に応じて
関わる人数が増えていくことが多いと思うのです。
形が異なれば、表現も仕組みも変わるもので、
「原作のままであるべき」と固めると、
大概つまらなくなる気がします。


 ・原作の骨子は保たれている
  :舞台設定や登場人物やその関係とテンションがぶれない

 ・形態に応じた的確な表現で再構築されている
  :原作の構造を尺やメディアの形態ごとに
   相似形になるよう落とし込む


これが上手くいっていると、
内容への共感に加え、
原作への丁寧な接触と再構築を成し遂げる知性にも
感動を覚えるのです。
原作と別形態版作品の幸福な関係には痺れっます!



さて、2012年の1月からは忙しく、
ドラマを含めテレビは殆ど見なかったのですが、
職場に
「ドラマの第1話は一通り録画・視聴して、
見続けるものを選り分ける!」と
クールなドラマファンの方がいらっしゃいます。
読書家でもある方なのですが、
原作が上手く活かされていると勧めてくれたドラマがありました。


2012年1月~3月
毎週月曜20時~TBSで放送されていた
ドラマ版『ステップ・ファザー・ステップ』です。
原作は宮部みゆきさんの同名シリーズ短編小説です。



当初、私はどちらも触れていなかったのですが、
お薦めを素直に受け入れ、
小説も、ドラマも拝見しました。
こーれーがー本当に良かった!
久しぶりに出現した、家族全員で見られる連続”良”ドラマでした。
さすが元『水戸黄門』の跡地、
いい具合に気合が入り、バランス感覚抜群!です。

主人公の双子と男のキャスティングが素晴らしく、

ドラマ用に非常に巧妙な脚本になっており、
登場人物も原作のメインキャラは維持しつつ、
ドラマ用の世界観を作るために追加された人物も
キャラが立っていて、

ドラマ用にシリーズ構成も練り直され、
見る回を重ねるからこそ楽しめる変化も自然に加わり、

脚本や演出担当者が、
原作に真摯に接しているのが伝わってくることにも
感動したのでした。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さあ、次は映画版『宇宙兄弟』が公開されます。
これも観に行く予定です。
原作とアニメ版のように
幸福な関係が見出せますように!







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市川崑監督のご冥福をお祈りしております。 [■映画]



2008年2月13日、市川崑監督が永眠されました。
ご冥福をお祈りいたします。

私の記憶で一番古い日本映画は、
市川崑監督の『女王蜂』です。
4~6歳くらいの頃、
テレビ放映されたのを親が見ており、
その隣で何げなく観ていたという、
今となっては、教育上疑問を感じる状況での初接触でした。
とはいえ、市川崑監督は多種多様な作品を撮られており、
様々に多大なる影響を受けており、
これも広い意味で縁、感謝しております。

この映画に出演されていた
”金田一耕助”役の石坂浩二さん、
意識が芽生える前の時点で
カッコいい!という印象に残っていたようです。

その後もテレビでたびたび放映される
『犬神家の一族』
『獄門島』
辺りを観て、
”金田一耕助”役の石坂浩二さんがカッコいい!と
静かに盛り上がっていたのでした。

「静かに」というのも、
小・中学校時代は
「”金田一耕助”役の石坂浩二さんがカッコいい!」と言ったところで、
「何それ?」「誰それ?」と言う反応しかありませんでした。
10代のアイドル=カッコいいが一般的だったので、
当然のことです。

しかも、当の映画は、
誰彼かまわずお勧めするのは難しいサスペンス映画、
その上、”金田一耕助”役の石坂浩二さんは、
衣装は古ぼけているは、
髪の毛はボッサボサだは、
頭をかきむしってフケを落としまくるは、
もっと早くに気づいていれば犠牲者が出なかった・・・と、凹んだり等々、
一見では、何がカッコいいのか説明しにくいのです。
その上、
「殺人映画が好きなの?」
「汚らしい人をカッコいいと思っているの?」などと
本来の嗜好とは真逆に誤解されかねないような
危険を多々はらんでいるのです。

一方で、
ご活躍目覚しい多才な石坂氏ですから、
友人たちも目にする機会が出てきます。
たとえば、クイズ番組での好成績を収める姿を見た友人から、
「インテリをカッコいいと思うんだ。」
「年齢不詳っぽさがカッコいいんだ。」と誤解されました。
確かに、石坂氏は類まれなる知性の持ち主でいらっしゃるけれども、
確かに、年齢よりもお若く見えますけれども、
私にとって、そのどちらもオマケみたいなもので・・・
ファンとして石坂氏の活動を追ってはいないし・・・
唸るばかり。
ネガティブに誤解されるわけではないので、
否定するのもいかがかと思いつつ、
しかし、誤解には違いなく、
うまくニュアンスが伝わらない、複雑な気持ちでいっぱいでした。

幸い、高校生になって、
横溝正史氏の小説や、
市川崑監督の金田一シリーズが好きな友人たちがいて、
ようやく大いに盛り上がり、
再放送の市川崑監督の映画版シリーズや、
他の監督・キャストの映画版やドラマ版シリーズを観ていくうちに
様々なことに気づきました。

市川崑監督の映画版シリーズの
”金田一耕助”役の石坂浩二さんは、確かに素敵だけれども、
すべての登場人物の個性が際立つ群像劇であるということ。

舞台になっている環境や、
富豪の邸宅の構造や豪華な衣装など、
見せ方が冴えているということ。

色使いが非常に美しいということ。

展開速度が抜群であること。

等々、語り続けると止まらないので切り上げますが、
結局、

苦手な情念渦巻く怖い人間関係が扱われているのに、
”金田一耕助”役の石坂浩二さんまでもカッコ良く見せる
市川崑監督の作品が好き

という事実にたどり着いたのです。

高校時代、『女王蜂』を改めて見直しました。
謎解きのシーン、

金田一、秀子の残した編み物に挑戦するが失敗
→編み図の暗号解読
→赤い毛糸玉解き
→秀子の遺書(告白文)発見

この一連の流れ、
確かに4~6歳の頃に見た!と鮮明に思い出しました。

バラバラな素材を美しく関係づけて展開し、物語へと昇華、
それが更に素材を磨き上げるのです。
他の市川崑監督作品も通じる
細部の素材から、物語を大きく作り上げる抜群の構成力は、
作品を作品たらしめ普遍的にする、強く知的な力です。
その力によって、
数々の印象深いシーンがメリハリを持って積み重ねられ、
見せたいシーンを鮮やかに見せ、
物語のクライマックスを成功させるのでしょう。

大学生の頃、
この「構成力」持主の筆頭で担い手の一人であり、
市川崑監督の妻でもある故 和田夏十さんの存在を知りました。
そして、ようやく
市川崑監督映画にまつわるあらゆることが腑に落ちました。
大胆さと繊細さの絶妙なバランスは、
お二人揃って出来上がったものなのだ、
意識的に作りようのない幸福な関係が生み出した作品なのだ、等々、
ロマンチックな気分になってしまいますが、
実際は、私の予想をはるかに超えるご苦労も共にされていると思います。
でも、勝手に思いを馳せたり想像することを止められません。
故 和田夏十さんの存在を知ったからこそ、
観るとただ圧倒されていた市川崑監督作品について
私なりの言葉に出来るのだと思っています。

そして、
岩井俊二監督も大好きなのですが、
かなり後になって
市川崑監督に傾倒されていることを知りました。
言われてみれば、
繊細だけれども、冴えた物語、
様々な印象的なシーンを甘ったるく続けないメリハリあるテンポ等、
キリっと冴えた作品の感触は、
市川崑監督作品にも通じています。
ひたすら納得しかありません。

ずっと観ずにとっておいた
岩井俊二監督のドキュメンタリー映画『市川崑物語』
観る日が来たようです。
ちょっとドキドキします。
その感想は、別の機会に。

市川崑監督、和田夏十さん、安らかにお休みください。



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